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【感想】ゼノブレイド2

この記事にはゼノブレイド2、ドラクエ11S、Fate、天気の子などのネタバレを含みます。お楽しみください。

 

 

ボーイミーツガール

Fateや天気の子など、少年と少女の出会いから始まる物語を総称した呼び方を知らないのでここではボーイミーツガールで統一します。全体通してボーイミーツガール最高―!という物語でした。先月ドラクエ11Sを遊んでいたのですが、あちらはヒロインと呼べるヒロインがいなかったのでこの形式の良さを実感しました。ドラクエ11Sは大きく「主人公と仲間達」に対してゼノブレイド2は「レックスとホムラ (ヒカリ)と仲間達」という形です。これによりドラクエにおいて因果が全て勇者に収束することにより感じていた一種の"孤独感"をゼノブレイドでは感じませんでした。ゼノブレイド2では因縁をホムラが背負い、レックスは今の世界とホムラを見ているという構図が良かったです。

 

レックスの願いが「楽園を探して滅びゆく巨神獣から皆を救う」から「ホムラとヒカリを楽園に送る」に明確に変わったことが好きでした。もちろんこれまでもそれからも二つの願望は両立していたと思うのですが、優先順位が完全に入れ替わったと思います。というかこの場面結構「桜だけの正義の味方になる」(Fate/stay night [Heaven’s Feel]) でした。少年が強大な力を持った少女と出会う、という点で共通点があるので並べて語られることもありそうですが、むしろ僕はこの告白シーンで想起されました。ホムラとセイバーは2人とも破滅願望を持っており、主人公はそれを止めたいという点でも共通点があります。ボーイミーツガールの良さは恋愛的な視点をわざわざ語らないで良いことですね。恋愛に発展することは仕方ない前提としてそれを世界と天秤にかけるなど、さらに深い話をしている印象が強いです。

 

世界観

「世界は雲海に覆われており、人々は雲海を闊歩する巨神獣の上に暮らしている」という世界観は最初受け入れにくいものでした。しかしながら複数の世界を周るうちに、いつ沈むか分からない巨神獣は無理矢理変化や進退を要求する舞台装置であり象徴なのだなと感じました。役割が先にあってテーマを与えた形だと思います。そもそも恒常的に平和な世界であればマルベーニが世界を滅ぼす理由は存在しなかったでしょう。いつまで保つか分からない世界だからこそ"世界に滅亡した敵"と"新天地を目指す主人公"の物語になったのだと思います。

 

個人的には「同調したブレイドはドライバーが死亡すると黒ずんだコアクリスタルに戻る」という設定は演出としてかなり好きでした。CERO:Cゆえに血を出せないと察せられる場面が多くあり、その上台詞がなく映像だけで語る部分が多かったため死を示唆するような演出がありました。しかしながら上述の設定があるためキャラクターの死亡が血はなくとも明確に描写されており感情を揺さぶられることが多かったです。またそれぞれの別れがヒカリやニアの覚醒に繋がっており、丁寧な殺し方で好感が持てました。

 

バトルシステム

序盤は楽しさが全く分かりませんでしたが要素が増えるごとに戦闘が楽しくなり、今では二周目を遊びたいほどバトルが楽しくなりました。ラスボスも属性玉5つ付与からのチェインバーストという完璧なコンボで終わらせることが出来たので満足しています。一方で、戦闘直前に味方が落下ダメージを負ったり (テンペランティアの対コア戦が酷かった)、強い敵にターゲティングされたら即死したり、特に操作説明を十字ボタンに割り当てられていたのはまじで意味が分からなかったです。細かい所ではXボタンのファストトラベルと+ボタンのメニューは感覚的に逆で、よく間違えてファストトラベルを開いていました。逆に良い点では強い敵でも回復アーツと回復ポッド拾いをしっかりとすればチェインアタックで勝てるので、そのあたりのシステム理解をすればレベル上げがあまり必要ないバランスは非常に楽しかったです。

 

BGM

Counterattack!が最強のイベントBGMです。最近はスマブラでもこのBGMを選んでいます。他にもスペルビアのBGMなど印象に残る曲が多かったです。ラストシーンが台詞なく曲と歌詞で感情を表わす演出で曲を大事にしたゲームだなと感じました。

 

レックス

物語開始時点で楽園を目指していたレックスにとってホムラたち天の聖杯は降って湧いた手段です。この点でホムラに対する立場はイーラ、マルベーニと同じだと思います。そこでホムラがレックスを選んだのは、あくまでホムラを一個人として扱ったからでしょう。このことは物語中なんども強調されており、僕がレックスを好きになれた理由でもあります。台詞の節々からもブレイドは一種差別のような扱いを受けており、ニアがブレイドであることを明かさなかったのもそういった背景があるのだと思います。それに対してレックスは大きく気にする様子もありませんでした。巨神獣であるセイリュウと暮らしたことが影響した人格形成でしょうか。

 

最終章、自分達の創造主に直接お礼を言う展開は良かったです。創造主も相互作用的にレックスから良い影響を受けていて、ただの主と従、親と子じゃないのも好きな関係でした。巨神獣がいつ沈むか分からず、戦争も終わらず、自分は一度殺されたという世界で、それでも産んでくれてありがとうと言えるのがこの話のキモであるように感じました。

 

ホムラ

ホムラとヒカリ、結局最後までホムラの方が好きでした。最初は単なる大人しい天然よりのキャラだと思っていましたが、節々で決意のような表情を見せる部分が良かったです。おそらく目覚めた時から自分を消滅させるために動いていたと思います。明るいキャラクターでありながら罪滅ぼしを目的に行動するあたりも世界観と合わさって好きな要素でした。レックスより身長が高かったり、どこか達観していたり、大人びた部分が良いですね。

 

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描いてました、ホムラ

 

ヒカリ

案外早く出てきて、しかも切り替えが容易で驚きました。終始、「何故ホムラという人格を作る必要があったのか?」ということに興味を惹かれました。現実では多重人格 (解離性同一性障害)は強いストレスから逃避するために生じると言われます。同様にヒカリは聖杯大戦で多くの被害を出したという罪の意識から逃避するためにホムラを生み出したのだと考えています。また、スマブラSPでの印象では典型的なツンデレと言った感じでしたが、実際にはかなり可愛げのある性格でした。そもそも初登場が「レックスを守る為に飛び出した」とホムラから説明されました。またホムラとの関係も「もう一人の自分」というより「女友達」が近いように感じていたので最後の展開もとても納得しました。

 

ラストシーン

宇宙ステーションに楽園がなかった時点で「楽園に行く」という目的をどう回収するのだろうと思っていました。たとえメツ、シンとマルベーニを倒したところで楽園に辿り着かなければ物語は終わらないと感じました。そのため、巨神獣が大地になりその大地が楽園であるという終わり方はとても綺麗でした。世界ごとに対抗しており不安定の象徴であった巨神獣が集結することで反転して平和な世界を作るという流れは納得感があり、クリア後のタイトル画面を見て感極まりました。

 

ホムラとヒカリが分裂したことについても、「ブレイドの再同調に前例がないこと」、「正体が全てのブレイドを管理するプネウマであること」の二点を踏まえて許容できる無理矢理感でした。本人が語るようにプネウマはホムラでもヒカリでもない三つめの人格とも言える存在であり、世界樹及びゲートの消滅とともにプネウマも消滅したと考えると最後の言葉もプネウマからの言葉だと考えられます。何より別れの感動を壊さない程度に無理矢理にでも再会と幸せな結末を描いたことにこの作品の良さが詰まっています。

 

総評

漂う薄暗さや退廃的な世界観のなかでそれでも幸せになろう!という物語、とても好みの話でした。よく考えるとレックスとじっちゃんとトラの明るさでなんとかバランスが取れていただけで中々に重い世界の話をしていたと思います。その後の世界を見たい気持ちが強いですが、二次創作で補うしかないでしょうか。

 

最近RPGの連続で少し疲れてきたのでDLCイーラと二周目はしばらく時間を置こうと思います。次は「月姫」を遊ぶ予定です。というか既に購入済みです。楽しみ!