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【感想】月姫 シエルルート (トゥルーエンド込み)

月姫シエルルート、面白い!アルクェイドがさらに好きになる!!

 

ネタバレあり

 

 

 

ノベルゲーム

月姫シエルルート、トゥルーエンドを含めて3ルートすべてクリアしました。選択肢やBADエンド回収はありますが、ひとまずこれで『月姫 -A piece of blue glass moon-』は完結になりました。

 

ADVやノベルゲームと言われるジャンルは僕と相性が悪く、「それをするなら本でいい」と思っていたほどです。これまで遊んだノベルゲームはすべて、「音声付きの小説」以上の面白さを感じなかったのですが(not面白くなかった)、月姫で初めてノベルゲームの持つ特有の面白さが分かりました。月姫は何と言っても物量が凄まじく、立絵の差分だけでなく一枚絵も多く、設定も多く、文字数も多かったです。この物量により、アニメでも小説でもない面白さが発揮されていたと思います。月姫、振り返るとただキャラが二人ならんでテキストが流れるだけ、みたいな場面が極端に少ないです。

 

 

シエルルート

数か月前にアルクェイドルートを終え、シエルルートでは彼女がラスボスになるのだろうと薄々考えていました。アルクェイドの暴走や志貴への対応から、完全な善性というわけではなく、志貴次第では人類の敵になり得るような描写がなされていたからです。実際、シエルルートでのラスボスはノーマル・トゥルー共通してアルクェイドでした。

 

しかし、アルクェイドがただのラスボスに成り下がることはあり得ませんでした。そもそも、アルクェイドを殺してホテルでヴローヴと対峙するまでは共通ルートなため、志貴に対するアルクェイドの好感度は分岐前からほぼMAXです。したがって、シエルルートはアルクェイドとの恋愛バトルが主軸になり、アルクェイドルートのラスボスであったバルダムヨォンは志貴とアルクェイドとシエルを繋ぐ赤い糸のような存在に思えました。

 

僕はアルクェイドルートを通してアルクェイドのことがとても好きになりました。Fateでもセイバーが好きですし、結局メインヒロインが可愛いよね派です。アルクェイドルートは完全なハッピーエンドではなくビターエンドだったため、終わった後の余韻も強く、シエルルートにはすぐに食指が伸びませんでした。

 

アルクェイド

蓋を開けてみれば、シエルルートでもアルクェイドの可愛さは健在!という感じでした。作者がアルクェイド好きなのが文中に溢れていましたし、たびたびアルクェイドルートよりもアルクェイドのことが好きになる展開も多かったです。好きな描写の一つは屋上から志貴とシエルの戦闘を見下ろす場面です。志貴が好きだからと言って単純に手を貸すわけではなく、シエルに対する嫉妬を存分に感じさせる表情と文章でした。嫉妬するアルクェイドが可愛いというより、神とも言える真祖のアルクェイドが俗っぽい感情を抱いている部分が好きです。

 

シエルルートのアルクェイドはラスボスになってしまうのですが、アルクェイドを(ロアのような)嫌な悪役にしないことに重点を置かれていたように思います。例えば、ノーマルルートでは志貴とアルクェイドは殺しあって物語を終えるのですが、そこで憎み合いながら終わるのではなく、お互いを認め合うのが二人らしいと思います。また、トゥルーエンドで光体化したアルクェイドは限りなく悪役に近づけるため、アルクェイドの感情的な部分がカットされ、合理的な部分が強調されていました。あまりにも冷静沈着だったので、そのまま倒されるかと思ったのですが、徐々にアルクェイドの天衣無縫っぷりが出て最終的に和解の形で終わったのがとてもよかったです。特に、落ちるシエルを志貴が受け止める場面で「やっぱなし」をするのがアルクェイドらしく、安心感もありました。僕が一番好きなシエルルートのアルクェイド描写は、「悪びれずモデル歩きで出てくるアルクェイド」です。

 

 

好きなCG

僕の感じた月姫の魅力の一つがそのCGです。そもそも立ち絵が多いですし、僕が「一枚絵で見たい!」と思ったシーンにはちゃんと一枚絵が用意されています。そこで、CGを軸にシエルルートを振り返りたいと思います。なお、PS4ではスクショが禁止されているため、紹介している一枚絵が見たい人は是非プレイしてください。

 

1. 寝巻シエル先輩

アルクェイドルートまでの印象と異なり、可愛らしい寝巻を着たシエル先輩の立ち絵です。このあたりの展開でシエルルートへの分岐を感じました。正直、それまでシエルの可愛さを実感していなかったのですが、この立ち絵はとても可愛いと思います。月姫アルクェイドのデート服とシエルのジェラピケが双璧を担っている。

 

2. ヴローヴに第七聖典を打ち込むシエル

あの杭の名前は第七聖典で合っているのか微妙に自信がないですが、あの一枚絵です。何といっても打ち込むシエルが下、ヴローヴが上な点に驚きました。「吸血鬼に杭を打ち込む」と聞くとなんとなく上から下に向けてだったり、右から左に向けてだったりの印象があります。「力を込める」というイメージから来るものだと思います。しかし、この一枚目は左下から右上に向けて打ち込んでおり、一瞬どちらがシエルでどちらがヴローヴから混乱するほどです。見慣れないながらもバチバチに極まった構図が格好良いです。

 

3. 首の死の線を切断されたアルクェイド

死の線を切断され、うずくまるアルクェイドのCGです。それまで見たことのないアルクェイドを感じさせ、切断した瞬間に「もしかして殺してしまったかも」と悔いるような気分にすらなりました。特に血だまりにうずくまるアルクェイドは、人外や人より上の種族である点がよく出ていたと思います。

 

アルクェイドは志貴に一途な一方でそれ以外の人間には冷酷な一面もあります。そうした面を完全に把握しているわけではないので、アルクェイドがどこまで怒っているのか、本気で志貴を吸血鬼化するつもりなのか、まったく読めないような狂気を感じさせるイラストだと思いました。差分として地表を平面化して圧縮するシーンもあるのですが、非常に概念的な事象がイラスト化されていて感嘆しました。

 

番外編. 十七分割されたアルクェイド

番外編として共通ルートから、十七分割されたアルクェイドです。このシーンを初めて見た時は「かなりグロテスクな描写もあるんだな」と思っていたのですが、終えてみるとほぼこのシーンのためだけにZ指定にしたようでした。実際に作者もインタビュー中で同じような内容を示唆していました。

 

このイラストは見るも無残な状況なのですが、どこか綺麗さを感じます。内臓や表情が映されておらず、汚い印象が排除されているからでしょう。アルクェイドを知った後ではバラバラからでも再生することが分かっているため、痛ましさよりも「真祖を殺した」とか「アルクェイドの性格が別物になってしまった」という風なあり得ない事件に対しての納得感を強く感じます。そのためにはZ指定に配慮したようなイラストではなく、ショッキングでもこのCGでなくてはならなかったのでしょう。月姫を象徴するような一枚であり、僕も好きなイラストです。

 

4. 真祖の力を自在に扱うアルクェイド

シエルルートなのにアルクェイドばかり!僕がアルクェイド好きなのでかなり仕方ないです。

 

終盤、覚醒して真祖として、地球の触覚としての力を行使するアルクェイドのイラストです。ギャラリーで見ると本編よりもかなり外側まで描き込まれていることが分かります。差分の中でも特に一番派手にエフェクトが入っている分が好きです。

 

個人的な印象ですが、型月の能力はかなり概念的で、文字を読んだだけでは理解しにくい部分が多少あります。アルクェイドの真祖としての能力はその最たるものです。それを補うためのイラストは能力の描写一つをとってもどこか気持ち悪さや不気味さがあり、ゲームという媒体の良さを存分に発揮していると思います。これは記事の序盤で述べた、ノベルゲームゆえの面白さに繋がります。

 

まとめ

以上、月姫シエルルートの感想でした。アルクェイドに大分入れ込んでいたので、アルクェイドが絶対悪として描かれることがなかったのが嬉しい部分でした。また、ノーマルエンドでは孤独になった志貴でしたが、トゥルーエンドではアルクェイドもシエルも失うことなく終えられたのが個人的にハッピーエンドでした。トゥルーのラストでは遠野家が走馬灯として浮かび、秋葉への興味が非常に高まりました。おそらく秋葉ルートが収録されると思われる月姫続編が楽しみです。