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輪るピングドラム、見ました

きっかけはレビュースタァライト

haruyalog.hatenablog.com

ついこの間劇場版レヴュースタァライトを見たという記事を上げました。自分の感想も書いたので他の人の感想を漁っていると、「エヴァっぽい」という感想に紛れて「ピングドラムっぽい」という意見がちらほらと見られました。そもそもこれらの作品はまとめて語られることも多い上に、ロンドロンドロンドを見るためにdアニメストアに入っていたこともあって『輪るピングドラム』を一気見しました。

というかツイート掘ってもらったら分かるんですけど、何度かピングドラム見ようとしていたんですよね。ですがタイミングが合わなかったり1話が思っていた感じと違ったりしてだらだらと引き延ばしてしまっていました。結果的には見て正解でした。ということでこのブログの序盤は「ピングドラムを見る前の自分」宛のものになります。

 

総評

見終わった感想としてはとても面白かったです。1話から分かるこの物語の縦軸は「ピングドラムを探す」というもので、ピングドラムが何なのか分からないぼくからすると微妙に物語に視聴モチベーションの湧かない1話でした。このあたりはある程度、事前の高評価を知っていて良かったです。でも演出が好きだったので当時見ていても2話は見ていたと思います。

最初は「ピングドラムらしきもの」を2話完結くらいで集めるものかと思って見ていました。それくらいリンゴの運命日記に”日記”以上の要素がないように感じました。なので前半は間延びした印象が強かったです。どれが話のうちで大切なパーツか分からない不安さがあったので、二周目の方が前半は楽しめると思います。

後半、とくに15話以降からピングドラムの一番大事な要素が判明して加速度的に面白くなりました。それまでも面白くはあったのですが、自分はラブコメ要素を面白い!と思えることが少ないので相当はまらなかった方だと思います。でもこのあたりの積み重ねが最終話フラッシュバックして良かったです。

問題のレヴュースタァライト要素ですが、めちゃくちゃありました。あまりクリエイターの方には詳しくないのですが、同じ流れを汲んだ方らしいですね。電車が運命のメタファーとして使われていたり、果実(あっちはトマトだけど)が重要なメタファーとして機能したりと類似点も多いと感じました。まあ言ってしまえばアダムとイブの話が大本にあるので類似点と言っていいのかも微妙ですが、表テーマの進行と見せて運命の話をずっとしているという構図が似ていましたね。あとは「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」というフレーズと、後々出て来る「透明」という言葉でちらほらノクチルが頭に浮かびました。ノクチルをエヴァフォロワー作品にいれたい。

 

ネタバレあり

ここからネタバレありです。ほんとは考察的なことが楽しいアニメだと思うのですが、もう10年前のアニメなので感想に重点を置きたいです。まずこのアニメって”愛”と”運命”の話ですね。恋愛や親子愛の話ならセンサーが「おっ?」っと働くのですが、兄弟愛の作品ってあまり見てこなかったので冠葉の感情が明かされるまで分かりませんでした。愛って自己犠牲の精神なんですかね。いい歳なので最近は親がお金を出してくれるだけで「愛だな」と感じます。ぼくにとってお金は愛です。愛の話はブログテーマとしてがっつり書きたいです。新しい等価交換の式の「10を11にして返す」の増えた1が愛だと思います。

そして「運命の乗り換え」というフレーズです。これが『輪るピングドラム』という作品を一番よく表していると思います。「運命から逃れる術はあるが、とても大きな代償を払う必要がある」という距離感が好きでした。この代償も愛ゆえにということでしょうか。こう見ると桃華はもっと報われるべきというか、与えた愛に対しての見返りがない気がしますね。愛はギブアンドテイクじゃないので見返りを求めてはだめでしょうか。それとも死後もリンゴや先生、ゆりに愛されているのでとんとんですかね?

 

ラストについて

ラストシーンも後味が清々しくて良かったです。一人一人の思惑や願いが絡みあって問題を解決する構図がとても好きです。そのための犠牲になろうとするのがリンゴなのもいい。リンゴもひまりと仲良くしていたし、”兄弟愛”だけじゃなく”友愛”も同様に尊いよねという感じがします。自分が身を焦がせるほどの友人がいるか、近いようなことをよく考えます。相手が死んだときに泣けるかとか。

そう考えると結果として運命を乗り換えた世界に兄弟が存在したのは代償的には優しいですね。てっきり2人のいない世界が描かれるかと思っていました。そういえば自分は「輪る」をツイートなどで打つときに「まわる」だと変換されないので「輪廻」から出していました。そこでまさかの輪廻転生ENDです。タイトルから予告されてた結末だったんですね。運命という決められたものに対して「乗り換え」からの「転生」はとてもオシャレな解答だと思います。

あとはペンギン帽子と「生存戦略~~~」状態の謎も明かされませんでした。ペンギン帽子は桃華と渡瀬の相打ち時に生まれたっぽいので、桃華の意思や半分描き変わった運命そのものでしょうか。そもそも「生存戦略」って何でしょうね。”愛”や”運命”と少し離れた言葉のように感じます。ニュアンスとしてエヴァにおいてインパクトで人間が絶滅する話に近いと思います。生存戦略、言い換えれば絶滅しないための行動です。もっとシンプルに「ひまりが死なないために~~~~」ってことでしょうか。運命なんて誰かが仕組んでいそうですが、ピングドラムでは運命はただそこにあるだけな概念です。電車の線路に行き先を決める権利はないですからね。

 

おわりに

世間で高い評価を得られているだけあって面白いアニメでした。おそらくぼくが見たことあるアニメにも大きな影響を与えていることでしょう。一周目だと序盤をあまり楽しめなかったので早いうちに見返したいですね。2クールは物足りなさもなければ見返しやすいちょうど良さがあります。昔、バックトゥザフューチャーを気まぐれで見たときに思ったのですが、昔から絶賛されている作品は見ておくものですね。長い間名作とされてきたものには何かしたら面白い理由があります。デュアルモニターを購入したのでこういったアニメを見ながらの作業がしやすくなりました。また何か名作と言われる作品を探したいと思います。

 

6/26 追記

haruyalog.hatenablog.com

ネタバレの有無を気にしていたらピングドラムの一番好きな部分を書き忘れていたので追記です。上で「1話切りはしないけど2クール見続けるかは微妙だったと思う」というようなことを言いましたが、物語の大枠を掴む前から面白かった部分が3つありました。1つは上で言ったように演出です。外連味があって不穏な部分もあり良かったです。2つ目が曲です。以前葉加瀬冬雪の記事で少し言及したんですが、ぼくは相対性理論やくしまるえつこさんが好きです。とくに『(恋は)百年戦争』と『ヴィーナスとジーザス』が好きです。ピングドラムではOPが2クール通してやくしまるえつこさんでした。曲からも不穏な感じが漂っていたり、「運命」という言葉が似あうアーティストだと思います。普通ににわかなので本人が意図してるかとかは分からないです。3つ目は独特な台詞回しが好きでした。「生存戦略」、「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」、「嫌だわ、早くすり潰さないと」などなど。結局意味は最後まで分からないのですが、頭に残るようなフレーズが多かったです。ゆりと夏芽と結城翼の立ち位置がごっちゃになりそうだったんですが夏芽の台詞のおかげでキャラを覚えるのにも役立ちました。こんなにユニークなのにあまりネットミームになってないのが不思議ですね。それか知らないミームだから目に入らなかったのでしょうか。追記はこんな感じです。