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シーズのイベントコミュ『OO-ct. ――ノー・カラット』を記憶する

この記事にはにちかへの不満であったり、浅い読みの上での解釈が含まれたりします。お楽しみください

 OH MY GOD

ようやくSHHis(シーズ)のイベントコミュが来ました。シャニマスはシナリオコミュではアイドル同士が絡むことがほとんどなく、プロデュースもサポートもSSRは未所持という惨状なので、個人的にはサポートレア以来のシーズが絡む情報になります。正直、自分の中ではシーズの関係がよく分かっていなくて、一番情報があるのは『OH MY GOD』の以下の歌詞かなと思ってます。

You only
You only
Only have one
I only
I only
Only have one
掛け合わせるわ

このパート、1番と2番で2人の歌い分けが変わるので、美琴とにちかの両者を指しています。WINGシナリオでもあったように美琴が持っているのは「実力」、にちかが持っているのは「愛嬌」です。このあたりが両者のWINGで語られたので、シーズはお互いがお互いを埋め合わせるような話が展開されるだろうと思っていました。

 

小出しにされる情報

その後、シーズの情報としては4コマ漫画、サポートレアのコミュ、ホーム会話がありました。このあたりはシリアスの話だったWINGから一転してコメディな展開が多かったです。『PiCNiC BASKET!』ではにちかは美琴と対等気味にやり取りしてたので憧れのような要素は薄いのかなと思っていましたが、上であげた3つではにちかのファン仕草が特に取り上げられていたように思います。「あれ?もしかしてシーズは思ってたよりゆるいイベントシナリオが来るかな?」と思いはじめました。

 

イベントタイトル

今回のイベントコミュ、題名が「OO ct.」だったので絶対上述した「お互いを埋め合わせる話」がされると思って嬉しかったです。「OO」はさすがにシーズの2人と対応していると思います。カラットって実は重さの単位なんですよね。ですから「ノーカラット」を直訳すると「重さがない」みたいな感じだと思います。摩美々のLPを思い出しました。ちなみに魂の重さは大体105 ctです。あとは余談ですが普通は単位のあとに「.(ピリオド)」をつけないので「ct.」は違和感があります。まあctがcaratの省略なのでありなのか……?と思いつつ、意味もなくピリオドをつけるか……?という気持ちもあります。でもこういうところに意味を見出すオタクは好きじゃないので気にするだけに留めます。

 

イベント報酬カードイラスト

あとは【RESONANCE】のイラストが発表されたときに「ピアノ連弾とかエヴァQじゃんww」って一人でずっと笑ってました。時期が悪かったです。エヴァQにおけるピアノの連弾はTVアニメ版におけるユニゾンの練習だと先駆者によって提言されているため、その文脈に則ると(?)シーズのユニゾンの様子を表わしているんだなということが分かりました。他にもピアノは「反復練習さ」ということもあって、反復練習の鬼である緋田美琴がピアノを弾けるのは納得です。イラストからはある程度のハッピーエンドが期待できます。にちかが弾けても弾けなくても「お互いの埋め合わせ」には適した装置です。

 

イベントコミュ

結果だけ言うと美琴を埋め合わせる話はありませんでした。にちかは結構救われましたね、命賭けて美琴に見てもらえて。シャニPは及第点、「どの面下げてにちかを褒めてるんだ?」という台詞もありました。総括として前後編の前編、もしくは序破急の序って感じのコミュでした。もやもや感もありますし、正直シーズとしてはほとんど成長してないというか、にちかもその精神はどうなのよって感じでした。このあたり上手くシャニPが補ってくれると嬉しいですが、シャニマスはシャニPも成長途中の未完成な人間としているので画面の外のぼくばかりもやもやします。

ちなみにぼくはにちかがあまり好きじゃないです。自分でシャニPを軟禁して半ば無理矢理約束を取り付けてアイドルになったのに「どうして選んだ」とか言える精神性が気に食わないです。わがままな子供(として描かれているアイドル)は別に嫌いじゃなくて、特に雛菜とかも「やれやれかわいいなー」という気分で見れるのですが、にちかは何というか「何こいつ」を感じてしまいます。これがシャニマスの狙い通りならいいのですが、高山さんは「娘らしさ」みたいな話をしていたし、シーズのテーマ的にもにちかは「愛嬌」が大事だと思うので、にちかに対してぼくのような評価をしている人が少ないことを願います。

 

ストーリー面

話を戻して、にちかの「実力が足りない」という部分は「美琴と同じ行動を危険を顧みずに行い、美琴の目に留まる」という形で補完されました。美琴は文字通り命を懸けてアイドルを遂行しようとしています。そんな美琴の相方は同じく命を懸けたアイドルでなくては務まりません。このあたりは斑鳩ルカにも掛かってくると思います。美琴を心配して出た咄嗟の行動でしたが、結果として美琴の目に映り、にちかの自己評価が少し向上しました。まとめて思いましたが、言うほど解決になってますかね?まあ大事なのは自暴自棄気味だったにちかが美琴に多少認められて、努力する目標が出来たことだと思います。

途中、シャニPがにちかに幸せになってほしいという話がありました。シャニマスの世界として、幸せは他者が定義するものではなく自分で決めるものだと思います。つまりにちかにシャニPが言いたいことが「どうして自分は幸せでないと思い込むんだ?」ということであり、「ラッキーの時間は終わり」というのはこれと反対に近い概念なので認識がすれ違っていると思います。にちかの自己評価の低さはかなり問題であり、自尊心の高さと相まって上述の悪印象に繋がっています。感覚ですが、これが解決するのはGRADかなー、と思ってます。

美琴も同様に「愛される存在になる」のがシーズとしての目標だと思うのですが、今回のイベントコミュではその話はまったく進みませんでしたね。それどころか引きではにちかの世間評価が一方的に上がる始末。この結果は途中の天井社長の話で語られていたので予想できる展開でした。というか次回のイベントコミュでやるのかなと思っていたのでクリフハンガー的に使われたのは面白かったです。次回のイベントコミュでは少し時が進んで、美琴にとってもにちかの人気が気になり出す頃でしょうか。そしてにちかからの働きかけで自分にも出せる愛嬌があることを知ります。つまり、

美琴「私なんか放っておいてほしいのに!なんでみんなこんなに優しいんだ!」
にちか「美琴さんが、好きだから。ありがとう、話をしてくれて」

これです。

 

演出面

シャニマスはただ文字を読むだけでなく、最近はゲームであるという面を効果的に使おうという姿勢が見れて面白いです。ほんとはプロデューサーにも声を付けてくれたり、テキストで公開してくれたりすると読みやすくていいのですが、こういう試みも面白いので色々見せてほしいです。例えば、WINGシナリオの回想が挟まりました。最近はたまにありますが、シャニマスは明確に時系列を定義したくないようなマインドを感じていたので、時系列が確定される演出が入ると「術式の開示!本気だね」という気分になります。シーズは実験的というか、ストレイ、ノクチルまででやりたいライブ感は十分にやったので、シーズではかっちりストーリーラインを組んでやってみようという感じがします。思い出せばユニット紹介からして「わたし(she)がわたし(she)になるための、1000カラットの物語を。」とあって、最初のイベントコミュが「ノー・カラット」なので、シーズは計画的に物語を進めている空気が強いですね。

次に台詞は表示されているのにボイスがない演出がありました。最初は不具合かと思いましたが、箇所からして意図的だと思います。該当箇所は「こんな……ラッキーな時間」。台詞として文章はあるのにボイスがないというのは「声にならない声」という演出でしょうか。これは声に出せないほど落ち込んでいる気持ちや、声に出すことで実感したくないという気持ちを感じます。これで不具合だったら笑える。

 

おわりに

シーズ最初のイベントコミュはにちかの目標を再生産するお話でした。WINGであれだけ「物語がない」だの、1枚目のpSSRで「目立たない」だの言われたにちかでしたが、イベントコミュではちゃんとにちかの話がされていましたね。あの嫌な流れに変に乗らなくて良かったです。ぼくは美琴の在り方の方が気になります。というのも浅倉透がGRADを通して美琴に近いような考えを得ており、美琴がどう変化するのか、どう変化させるのをシャニマスが良いとするかに興味があるからです。美琴は「アイドルのためなら死んでもいい」と言っていますが、ぼくはシャニマスがこれを良いことと描いているとは思えません。また、緋田美琴が愛嬌を得るとも思えません。今回のにちかが美琴に注目されることで間接的に実力を得たとしたように、美琴も間接的に愛嬌を得るはずです。ノクチルに倣うと次のシーズのシナリオは感謝祭でしょうか。ここで美琴の話をするのか、一旦別の軸である「仲の良さ」などの話を挟むのかは分かりませんが、楽しみです。