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【MCU感想】アントマン&ワスプ クワントマニア

 長かったフェーズ4も終わり、いよいよ本格的に次の「アベンジャーズ」に向けて物語が進むことの予想される、「アントマン3」が公開されました。これまで「ロキ」を始めとしてマルチバースを主軸とした世界観の拡張が勧められてきましたが、ついにクワントマニアではスクリーンでカーンが登場します。アントマンはエンドゲームでも重要な役割を果たしており、新章の先鋒として非常に期待が高まります。

 

 

前日まで

 とりあえずの予習として「ロキ」最終話と「アントマン」を見返しました。客観的に見るとロキでのカーンは性格の悪さこそあれ、他の時間軸から神聖時間軸を守ろうとしており、大局的には正義サイドだったようにも見えます。とはいえこれ以降MCUではカーンの話題がほとんどなかったので、今作どのような役回りで敵となるのかは不明です。

 

 「アントマン」は自分の記憶以上に面白かったです。微小化を活かしたアクションシーンは他にはない楽しさですね。例えば巨大なトーマスを投げ飛ばしても現実サイズではただ転がるだけ、のような細かいギャグも笑えます。クドかったりシリアスを過剰に壊したりしないので好きです。ダレンはMCUにありがちな闇落ち科学者ですが、かなり私情が強いので、そこもアントマンの独特な空気感を形成している要因だと思います。しかしながら競争相手を失敗微小化するシーンの冷酷さはかなり印象的です。最終的にはどんな状況になってもパパを信じるキャシーが愛おしく、エンドゲームで5年の空白が生じたことが切なくなりました。

 

 結局見る予定のなかった「アントマン&ワスプ」まで見て予習終了です。2作目は2作目で、ジャネットと再会したシーンのピムの顔が忘れられません。特にジャネットとハンクは今作で死ぬ可能性があると勝手に思っているので、そこに向けて気持ちを作れたと思います。これでお別れになったら悲しすぎる。また、カーチェイスも印象的です。微小化と幽体化はまったくジャンルの違う能力のように見えますが、それをカーチェイスでまとめて見れるのはとても楽しいです。クアントマニアでもこうした微小化を活かしたアクションシーンが見たいですね。

 

クワントマニア感想

 スターウォーズ大好きなので疑似スペースオペラの感覚で楽しめて最高でした。多種族、異形頭、奪われた故郷、など宇宙SFのお約束がMCUで見れたのは面白かったです。その舞台が量子世界なのが新しい映画の新鮮さでした。アントマンのお話の中心は家族だったので食い合わせは良くないように見えましたが、キャシーの投獄と義侠心がここに繋がるのは論理的で感心しました。

 

 まず印象に残ったのは開始1分です。おそらく量子世界時代のジャネット。もっと虚無の空間で耐えたと思っていたので、意外と地に足着いた生活で、なるほどここが今作の舞台になるんだなと納得しました。そして接敵と援護射撃、ジャネットを助けたのはカーンでとても驚きました。と同時に、予告編と合わせて今作のストーリーも大筋が見えてきました。おそらくこのカーンが後にダイナシティーで戦うことになるカーンで、今作は確定した負け試合がどこに着地するかが描かれるだろうと予想します。予告ではアントマンがボコられるし闇落ちフラグは立つしで、カーン編はアントマンの敗北から始まるのかなあと考えていました。

 

 映画単体で見るとかなりハッピーエンドでした。ハンク、ジャネット合わせて全員帰還した上に、ジャネットとホープの軋轢も解消でき、逆に不安になるくらい損害がなかったです。要因の一つは予想以上にアントマンが強かったことでしょう。キャシーが世界を救ったはずのスコットの現状を憂いていましたが、実際にスコットは量子世界を救えるほど強かったということだと思います。節々で亡きキャプテン・アメリカの精神を受け継いでいる様子が見られ感動しました。
 二つ目はカーンが、本来僕の想定していた規模ではなかったことです。つまり、マルチバース・サーガで立ち塞がる「カーン」とは、特定の時間軸のカーンではなく全てのカーンだということです。アントマンが倒したカーンは確かに強そうなカーンでしたが、他のカーンから追放されて量子世界に閉じ込められていたことで弱体化していたことでしょう。カーンの強さは時間軸を越えた技術力という説明もありました。それに加えて、量子世界のカーンを倒してしまったことで、全時間軸のカーンを焦らせる結果となってしまいました。おそらく世界の滅亡を速めてしまったことと思います。その話もロキやストレンジあたりから明かされると思うので、今後のアベンジャーズでのアントマンの活躍に期待です。

 

カーンの整理

 ドラマ「ロキ」でシルヴィが殺したカーンを神聖カーン、今作のカーンを量子カーン、ポストクレジットのカーン達をカーン軍団と仮に呼称します。これは完全に推測ですが、多元宇宙は並行に並んだたくさんの紐のようなもので、その紐1本1本が時間軸と呼称されているのではないでしょうか。この紐の枝分かれも多元宇宙ではあると思うのですが、この枝分かれを指して時間軸と呼ばれている印象はありません。今作でいう「可能性」の話は、別時間軸の可能性というよりは、時間軸の枝分かれの可能性という印象を受けました。そしてこれまでの話からおそらく1つの時間軸に1人のカーンがいるものと思われます。神聖時間軸はエンドゲーム以前のMCUの物語が紡がれてきた時間軸で、神聖カーンが剪定し制御していたおかげで別時間軸との接触が起き得ない世界でした。エンドゲームのタイムトラベルは最終的にインフィニティストーンを持ち主に返す都合上TVAの剪定対象にはならなかったのですが、その間の事故で本来の歴史から枝分かれしたロキは剪定対象の変異体になってしまった、という理解です。

 

 このあたりを考えると、別時間軸との接触、衝突を事前に封じていたカーンは悪人ではないのでしょう。むしろ時間軸のカーン軍団や量子カーンの暴力性を見ると、神聖時間軸として隔離したのは正解だったように見えます。ではアベンジャーズから見てもそれが正解だったのか、というとそれは今作が否定している事柄かと思います。つまり、見逃してしまいそうな小さな民でも守る義務がヒーローにはあるのでしょう。神聖時間軸が隔離されたままでは、例えば復活した量子カーンによって滅ぼされたであろう多くの時間軸は守れなかったかもしれません。ロキとシルヴィの行動は、神聖時間軸を危機には導きましたが、代わりにアベンジャーズの救いの手を広げたと取ることもできそうです。

 

 ここから予想されることとして、アントマンの役割の大きさが挙げられます。量子世界ではうろ覚えですが時間軸がない交ぜになっているようです。そうした影響で別時間軸から来たであろう量子カーンと神聖時間軸のジャネットが出会う事態が引き起こされたのだと思います。となれば逆に、ストレンジMoMのイルミナティのような、別時間軸のヒーローを量子世界経由で連れてくることも可能なはずです。エンドゲームで各地の復活したアベンジャーズを魔術師が連れてきたように、アントマンが量子世界経由で多元宇宙のアベンジャーズを連れてくる展開が見れるかも?と思っています。まあアメリカ・チャベスでもいいんですけどね。

 

まとめ

 マルチバース関連の話はロキからおよそ1年半近くゆっくりと進められてきましたが、ストレンジMoM依頼久しぶりに大きく設定が動いた気がします。新ヒーローや、既存ヒーローの続編はもちろん面白いですが、やはり「アベンジャーズ」に向けて本格的に話が動きだすとワクワクが段違いです。それに加えて今作はスペースオペラ的な楽しみ方もできて、敵がカーンであったことを除いても面白い作品だったと思います。初め、シビルウォーではヒーローらしさのなかったアントマンでしたが、今は単独で小さな世界を救えるほどの大きなヒーローで、今後も末永く活躍してほしいヒーローです。