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『さざなみはいつも凡庸な音がする』

この記事はイベントコミュのネタバレや批判を含みます。お楽しみください。

 

 

シャニマスの好き/興味があるキャラランクです。

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キャラランク

恋鐘は好き寄り、雛菜は興味寄りな感じで以下も混在しています。

これを一目見て分かるのはノクチルの強さ。実際は浅倉市川に興味があってノクチルのコミュを読んでいたら他の2人にも興味が向いたので必然の結果です。そしてとうとうノクチル3つ目のイベントコミュ『さざなみはいつも凡庸な音がする』が追加されました。タイトルからして「GRADを踏まえたこれからのノクチル」のスタンスを示すようなコミュになりそうなのでしっかりと読みたいと思い記事にします。

 

タイトル

『さざなみはいつも凡庸な音がする』というタイトルが既に雄弁です。僕の思うノクチルのイメージは「停滞からの脱却」です。Pと出会って幼馴染からアイドルに進み始めた浅倉、それを良く思わない樋口という構図だと思って読んでいます。幼馴染は停滞の象徴です。それとは別の軸として「浅倉透は透明か否か」というテーマもあります。

これらを踏まえてタイトルを解体すると「さざなみ」、「いつも」が停滞の象徴として、「凡庸な音」が浅倉を示しているように感じます。ちなみに「音」というワードは浅倉透のコミュでは「トール」の響きとして出ています。つまりタイトルが表すのは「浅倉の心は幼馴染の元にあった」という気づきではないでしょうか。

 

ヘルプのポエム

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ヘルプのポエム

「ヘルプのポエム」としか言い様がないけど上のこれです。同じ内容を繰り返すようですが、一文目が進展、二文目が停滞を示しています。自分の視点が正しい前提で噛み砕くと「今はまだ停滞だがいつか変わる必要があるのか」、「まだ幼馴染の関係だがいつかアイドルとして離れるときが来るのか」となるでしょうか。

実際、GRADまでで4人で積み上げられてきたのはアイドルへの前向きな気持ちです。アイドルゲームだから当たり前ですが、アイドルを辞めてただの幼馴染の関係に戻るという選択肢はありません。そもそも「さよなら、透明だった僕たち」というユニットテーマからして周囲の目に晒されていなかった幼馴染の関係に別れを告げています。

GRADの樋口と小糸では分かりやすくアイドルに向き合うという点で一区切りを付けてきたように感じます。本人たちは自覚しているか分かりませんが現状は全員が停滞から進展の方向に意識が向いており、このイベントコミュがそれに決定打を打つのではないでしょうか。

 

OP

初っ端から「4人の『成長』を描く」とか言われて笑っちゃった。これは僕が上で散々言及した「進展」と同義語なので僕の見方が正しければ確信犯的にノクチルの願いに対立する状況を準備したのだと思います。

最近の流行りはシャニマスの「……」に意味を見出すことです。早速雛菜と円香の呆れの「……」と、夏期講習の下りで小糸の「…………!」が出ました。これは雛菜の「小糸ちゃんもようやく遊べるね~」に対するレスポンスなので声にならない嬉しさを表わしているのでしょう。

すでに投票で雛菜と小糸にアイドルに対する姿勢の差が出ています。雛菜は自分のやりたい企画をやるのが自分のしあわせ、ひいてはファンの幸せになるから投票を促します。一方で、小糸はファンの求める企画をやることがアイドルとしての使命だと感じており投票をしていません。雛菜に促されても投票をしないあたりに芯の強さを感じます。

透&円香&雛菜の「…………」は小糸に対する感心でしょうか。もしくは小糸の「変化」を感じているのかもしれません。「変化」も「停滞」とは対になる概念です。
雛菜と樋口の口論の後の小糸の「…………」は小糸も明確な見通しがあってファンに委ねているわけではないことを表しているのでしょうか。迷いのようなものを感じます。

 

第一話 寺

小糸は寝なくて大丈夫か?に対する「…………」は本音で話していいか考えている間だと思います。強がらずにPに弱音を吐いたのは成長でしょう。

樋口「ノクチルです」雛菜「市川雛菜です」の違いはよく分からないです。どうしてわざわざ対比させるような言い回しにしたのか。

雛菜の「移動だけで疲れたねー」に対する浅倉の「これからこれからー」は結構意外に感じました。『かっとばし党の逆襲』的なポジティブで前向きな一面を浅倉はたまに出す。

雛菜がケータリングの話やメイクの話をしている時も小糸が「…………」をしています。何か考え込んでいるのだとしたら選択をファンに任せた申し訳なさでしょうか。もしくはいつもと変わらず緩い雛菜を窘める伏線でしょうか。

上の話、意外とすぐに答えが出て、「お寺で修行」がファンによって選ばれた意味を考えていたようです。正直、ファンの選択に意味を見出す必要はないし、シャニマスも別にファンがアイドルを成長させるようには描いていないのでここに答えはないように感じます。しつこくやらせを疑う樋口はGRADの台本の演出などを踏まえた発言でしょうか。

「身も心もこれ以上無い」と言える雛菜が好き。

番組のテーマをノクチルに対して悪なものに配置したのに番組ディレクターは裏表のない良い人そうなのが嫌らしいです。このあたりは過去のイベントコミュの二番煎じ感を減らす意図でしょうか。シャニマスは番組を悪にした上で番組側にも考えがあるという構図をよく使います。

 

第二話 写経

小糸の写経が遅れて番組が押してるの小糸の耳に入らないといいな~と思ってます。残念ながらシャニマスのPは優秀ではあっても完璧ではないのでたぶん小糸が知ることになって凹むんだろうなと考えています。と、考えていたら本題はそこではなかったようです。

この番組ディレクター、思考が『ストーリー・ストーリー』では?それにしても真摯だし、シャニPがいつも考えているようなことに近いことを話しています。いまいちこの人の立ち位置が掴めないです。かと思っていたらこちらの「ノクチルが真面目すぎる」という話を小糸達が聞いてしまう展開でした。

 

第三話 夜

雛菜が「眠いってことはすっごい頑張ったってこと」と言ってるけどこれは初期の「辛くて大変じゃないと頑張ったことにならないの?」と微妙に競合しないか?雛菜が成長したことを示しているのか、それとも大変は頑張ったにとって十分条件だけど必要条件ではないのかな?

「雛菜ちょっとむくんでてもかわいいからいいか~」好き。好きだけど雛菜の自己肯定感の高さアピールしすぎじゃない?浅倉樋口のオタクへの紹介の意味もあるのでしょうか。

浅倉と小糸がタイマンで話すの、珍しい気がします。浅倉がそんなこと考えているわけないのに質問を言わざるを得なかったのは、道や目的を浅倉が示すことが多かったからでしょうか。「引き止めちゃってごめんね」には色んな文脈がのっていそうです。樋口は小糸がいないことに気づいて起きていたのでしょう。

 

第四話 座禅

「雛菜が寝てたから仕方ないんじゃない~?」って雛菜が言うんだ~って感じです。例えばWINGでシャニPが雛菜を窘めたとき、「これが仕事だから」と言えば雛菜は受け入れてくれたのでしょうか。僕はそうは思いません。雛菜は雛菜のしあわせが一番とは言いつつも他人の幸せを侵害することを肯定しているわけではないのでそのあたりの理屈から来た言葉かもしれません。あとは撮れ高への考えが多少はあったのかも。

シャニPと対峙する樋口は天塵を思い出させます。僕からすればすべてシャニPの優柔不断さ(よく言えば優しさ)からくるものですが。樋口は樋口で「輝くことは確定事項=やらせ」といった言い回しをするのが意地悪です。小糸が絡んでいるのでそれなりに怒っているように感じます。シャニマスなので「輝かなくてもいい」という落とし所にはならないのでこの議論がどう着地するのか気になります。「すでに輝いていた」かなー。

 

第五話 ゴミ拾い

浅倉と雛菜のコンビ、雛菜が結構核心を突いたことを聞いてくれることがあるので好きです。浅倉が余り眠れていないのは何かあの晩に考えごとでもしていたのでしょうか。そのような性格には思えませんが、不自然です。

雛菜の言う「大丈夫」めっちゃ好き。ニュアンスとしては「嫌じゃない」って感じで完全な正ではないんだけど安心感がある。ここらへんの会話、雛菜に対しての間違ったイメージを払拭する狙いでもあるのかな?ってくらい言語化してくれますね。雛菜、ただの我が儘じゃないしむしろ相手をリスペクトした結果として不理解を選択している。

樋口と小糸の会話も何か比喩っぽいけどゴミ拾いとなるとどうしても『アジェンダ283』を絡めたくなるから難しい。比喩にするためか言い回しに違和感多くて何か嫌だな~の気分。

 

第六話 雑巾がけ

雑巾がけレース始まった!予想します。小糸が一番になって雛菜「小糸ちゃん速かった!すごいね~!」みたいな展開。外しました。

雛菜の「変わりたいって思ってないからな~」がこのイベントコミュとノクチルの全てを表してる。わざわざノクチルの為にならない状況を用意して雛菜にこれを言わせるのやっぱり確信犯だけど読む側もそれを理解してここまで読んでるので共犯という感じがする。書き手の用意していない悪がいるとすれば、ノクチルの解釈が甘かった番組ディレクターとそのオファーを承諾したシャニPなんだよなやっぱり……。このシャニP、これだけプロデュースしておいて「みんなを分かりたい」とか抜かすからな……。実際、分かってないので小糸GRADが生じてしまう。

最後小糸が多少の我が儘を言えたのは良かったです。小糸が目指すべきは雛菜マインドではないけど雛菜から受ける影響は良いものが多いですね。でも俺が求めるのは万人を救う雛菜じゃなくて高校1年生なのに達観してしまった雛菜なんだよな……。

 

ED

茎の成長速度の話は結構分かりやすい比喩で、オーキシンは茎の成長速度を調節して植物が光の方に傾くように機能するらしいので、ノクチル全体を茎とみなしてその舵取りの話でしょう。ノクチルは浅倉の提案に樋口が反対して雛菜が賛成するので実質的な決定権は小糸が持ちがち。成長速度は本質ではないよという話。

番組の最終的な結果としては「輝かせてくれた」でした。正確には「輝かせてくれた(から次が貰えた)」というかなりシビアなものと受け取れます。樋口視点では小糸の我が儘も叶えられたし嫌味以上の文句はないという感じでしょう。

 

総評

結局このコミュ何が言いたかったの?というとノクチルにとっての成長は「心身を鍛える」ことではなく「なりたいアイドルになる」ということでしょうか。その点で、GRADでは小糸がなりたいアイドル像を明確にしていたため実は一歩先に進んでいたという話でもあるかもしれません。そし次の機会を与えられたことで、次の企画は「なりたい自分になる」ようなものになるでしょう。

今回浅倉が掘り下げられるかなと思ったらあまり掘り下げはありませんでした。雛菜に関しても明言は増えたけどそれもこれまで示されたことだったので目新しさはなく、ノクチルはいつまで小糸の成長を描くのでしょうか。コミュは成長を否定するものでしたが、ノクチルのイベントコミュとしてはずっと停滞しているように感じてします。「それもライターの思惑通りだよ」と言われてしまえば飲み込むしかないけど、あまりにじわじわとした成長を描きすぎてそろそろアイドルのノクチルで描けることがなくなったのでは?と邪推します。終わりとして一区切りの決着を付けることを恐れないでほしい。

改めて『さざなみはいつも凡庸な音がする』の意味を考えます。終始アイドルノクチルとしてコミュが進行しており、OPとEDだけは幼馴染4人として出ていたことに意味があるんだろうなと思います。たぶん「凡庸」というのは浅倉に対してだけじゃなくて、ノクチル全体や出ていた番組、コミュの内容にまでかかっているのでしょう。ポエムの「凡庸な音を繰り返す」は「日常を繰り返す」ととれます。ノクチルというアイドルが幼馴染の延長線上にあることを示すでしょう。凡庸な物語でもそれを受容するのがシャニマス世界らしいです。

 

※追記

イベントカードの2つ目のコミュ相当笑っちゃった。